「犬に歯磨きって本当に必要なの?」と疑問に思っている飼い主さんは少なくないはずです。答えは「間違いなく必要」です。3歳以上の犬の約80%が歯周病にかかっていると言われており、歯周病は口の中だけの問題では済みません。
歯周病菌が血流に乗ると、心臓や腎臓にまで悪影響を及ぼす可能性があります。つまり犬の歯磨きは、口腔ケアであると同時に全身の健康を守るための重要な習慣なのです。
この記事では、ゼロから始める犬の歯磨き方法と、おすすめのデンタルケアグッズをご紹介します。犬の歯磨きはやり方さえわかればハードルがぐっと下がりますので、ぜひ参考にしてください。
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なぜ犬に歯磨きが必要なの?
犬の歯周病は命に関わる
犬の口内は人間よりもアルカリ性が強く、歯垢が歯石に変わるスピードが非常に速いのです。人間だと約25日かかるところ、犬はたった3〜5日で歯石になります。
歯石になると歯ブラシでは取れず、動物病院で全身麻酔をかけて除去するしかありません。費用面でも犬の体への負担面でもかなり大きな処置になります。
しかも歯周病が進行すると、歯周病菌が血管に入り込んで全身に回り、心臓病や腎臓病のリスクが上がるという研究結果もあります。「たかが歯」では済まない深刻な問題なのです。
口臭の原因もほとんど歯周病
犬の口臭に悩んでいる飼い主さんは多いですが、口臭の原因のほとんどは歯周病です。歯磨きを習慣にするだけで口臭がかなり改善するケースは多いですよ。

犬の歯磨きの始め方【段階別トレーニング】
いきなり歯ブラシを突っ込んだら、犬は二度と口を開けてくれなくなります。焦らず段階的に慣らしていくことが成功の秘訣です。
ステップ1:口周りを触ることに慣れさせる(1〜2週間)
まずは歯ブラシなしで始めます。口の周りを触ったり唇をめくったりすることに慣れさせましょう。
- リラックスしているときに、口の周りを優しく触る
- 触れたらすぐにおやつをあげる
- 嫌がったらすぐにやめる(無理強いは絶対ダメです)
- 少しずつ、唇をめくって歯を見る練習をする
この段階で焦ってはいけません。「口を触られる=いいことがある」と犬に学習させることが目的です。
ステップ2:指で歯に触れる(1〜2週間)
口周りに慣れたら、次は指で歯や歯茎に触る練習です。
- 歯磨きジェルを指に少量つけて、犬に舐めさせる
- ジェルの味を気に入ったら、指で前歯をそっと触る
- 徐々に奥歯まで指を入れていく
- ガーゼを指に巻いて歯を拭くのも効果的
ステップ3:歯ブラシを導入する(1〜2週間)
指での歯磨きに慣れたら、いよいよ歯ブラシの出番です。
- 最初は歯ブラシを見せるだけで、おやつをあげる
- 歯ブラシの匂いを嗅がせる
- ジェルをつけた歯ブラシを舐めさせる
- 前歯を数秒磨く → 褒める → おやつ
- 徐々に磨く範囲と時間を増やしていく
ステップ4:全体を磨けるようになる
最終的には上下左右のすべての歯を磨けるようになるのが目標です。ただし完璧を目指さなくても大丈夫です。外側(頬側)だけでも磨ければ、歯周病の予防効果はかなり高いのです。
理想は毎日30秒〜1分の歯磨きです。週に3回以上できれば、歯周病のリスクはかなり下がりますよ。

歯磨きのやり方のコツ
磨く角度は45度
歯と歯茎の境目に45度の角度で歯ブラシを当てて、小刻みに動かします。歯周ポケットの中の歯垢を掻き出すイメージで磨いてください。ゴシゴシ力を入れる必要はなく、優しくソフトに動かすだけで十分です。
奥歯は特に丁寧に
犬の歯周病が最も起こりやすいのは上顎の奥歯(第4前臼歯)です。ここは唾液の分泌が少なく歯垢がたまりやすいため、重点的に磨きましょう。
短時間で終わらせる
犬の集中力は長くは続きません。最初は30秒でも十分です。嫌がる前にやめて、「楽しかったね」で終わらせることが大切ですよ。時間を延ばすのは犬が慣れてからで大丈夫です。
終わった後は必ず褒める
歯磨きが終わったら、毎回おやつをあげて褒めましょう。「歯磨き=いいことがある」と犬に覚えてもらうことが、長く続ける秘訣です。
おすすめの犬用歯ブラシ
指サック型歯ブラシ
シリコン製の指サックにブラシがついたタイプです。歯ブラシに慣れていない子や小型犬におすすめです。指の感覚で力加減がわかるため、初心者でも使いやすいのが特徴です。ただし奥歯は磨きにくいのがデメリットになります。
360度歯ブラシ
ブラシが360度ぐるっとついた歯ブラシです。どの角度からでも磨けるため、犬が動いても歯にブラシが当たりやすいのがメリットです。不器用な飼い主さんにも使いやすいと評判ですよ。
小型ヘッド歯ブラシ
人間の子ども用歯ブラシくらいの小さなヘッドを持つタイプです。小型犬や口が小さい犬種に最適です。毛の硬さは「やわらかめ」を選びましょう。硬い毛だと歯茎を傷つけるリスクがあります。
電動歯ブラシ(犬用)
振動で効率的に歯垢を除去できるタイプです。ただし振動や音を嫌がる犬もいるため、まずは手動で慣れてから導入する方が無難です。

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おすすめの歯磨きジェル・ペースト
犬用の歯磨きジェルは、犬が好む味がついていて飲み込んでも安全なものを選びましょう。人間用の歯磨き粉はフッ素やキシリトールが含まれていて犬に有害なので、絶対に使わないでください。
- おすすめの味:チキン味、ビーフ味、ミルク味など。犬によって好みが違うため、いくつか試してみましょう
- 酵素入りタイプ:酵素の力で歯垢の付着を抑える効果があります。舐めるだけでもある程度の効果が期待できるため、歯磨きが苦手な子にもおすすめです
歯磨き以外のデンタルケア方法
「どうしても歯磨きが無理」という場合でも、代替となるデンタルケアの方法はあります。
デンタルガム
噛むことで歯垢を除去してくれるガムです。VOHC(米国獣医口腔衛生委員会)の認定を受けた製品が信頼性が高いです。ただし丸呑みすると消化不良や窒息のリスクがあるため、必ず見守りながら与えてください。
デンタルスプレー
口の中にシュッと吹きかけるだけのタイプです。歯周病菌の繁殖を抑える成分が含まれています。歯磨きの代替にはなりませんが、補助的な効果は期待できます。
飲み水に混ぜるタイプ
水に混ぜるだけのデンタルケア液です。手軽さが最大の魅力ですが、効果は歯磨きに比べるとマイルドです。「何もしないよりはずっといい」というレベルで考えておきましょう。
デンタルトイ
噛んで遊ぶことで歯垢を除去する知育玩具です。ロープタイプやゴムタイプがあります。遊びながらデンタルケアできるため、犬にとっても楽しい時間になります。
歯磨きを嫌がる犬への対処法
- ステップを戻す:嫌がるなら1つ前のステップに戻って再度慣らしましょう。無理に進めないことが大事です
- ジェルの味を変える:味が嫌いな可能性があります。別のフレーバーを試してみてください
- タイミングを変える:散歩の後や食後のリラックスタイムに行いましょう。興奮しているときは避けてください
- 短い時間で:最初は前歯3秒でもOKです。「歯ブラシが口に入った=おやつ」という関連づけを強化しましょう
- 2人体制で:1人が犬を保定して、もう1人が磨くと成功率が上がります

まとめ:歯磨きは愛犬の寿命を延ばす
犬の歯磨きは最初こそ大変に感じるかもしれませんが、デンタルケアを習慣にすることで歯周病のリスクを大幅に下げられます。それは結果的に愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります。
完璧じゃなくていいのです。週に数回、30秒でもいいから少しずつ始めてみましょう。きっと愛犬も慣れてくれますし、いつの間にか「歯磨きタイム=おやつタイム」として楽しみにしてくれるようになりますよ。
参考リンク:
日本獣医師会
VOHC(米国獣医口腔衛生委員会)
日本動物病院協会(JAHA)
※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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