愛犬がシニア期に入ると、「最近寝てる時間が増えたな」「散歩であまり歩かなくなったな」と変化に気づくことが増えてきます。
犬は人間よりずっと早く歳を取ります。小型犬で7歳、大型犬で5〜6歳からシニア期に入ると言われています。しかし、適切なケアをすれば、シニアになってからも元気に過ごせる時間を延ばすことが可能です。
この記事では、老犬のケアに必要な知識を食事・運動・介護・認知症対策まで幅広くまとめました。愛犬のシニア期に備えたい方も、すでにシニア犬と暮らしている方も、ぜひ参考にしてください。
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老犬に見られるサイン
まずは「うちの子、もうシニアかな?」と思ったときにチェックしたいサインを紹介します。
体の変化
- 口まわりや顔に白髪(白い毛)が増える
- 目が白っぽくなる(核硬化症や白内障の兆候)
- 皮膚にイボができる
- 筋肉量が落ちて痩せてくる(特に後ろ足)
- 歯が弱くなる、歯周病が進む
行動の変化
- 寝ている時間が長くなる
- 散歩で歩くスピードが遅くなる
- 階段やソファへの上り下りを嫌がる
- トイレの失敗が増える
- 呼んでも反応が鈍い(聴力の低下)
- 分離不安が出てくる(飼い主がいないと不安がる)
これらのサインが見られたら、老犬向けのケアに切り替えるタイミングです。

老犬の食事ケア
シニア用フードに切り替える
シニア犬は基礎代謝が落ちるため、成犬用フードのままだとカロリーオーバーで肥満になりがちです。逆に食欲が落ちて痩せてしまうケースもあります。
シニア用フードの特徴は以下の通りです。
- カロリー控えめ:代謝の低下に合わせたカロリー設計
- 良質なタンパク質:筋肉量の維持に重要な栄養素
- 関節サポート成分:グルコサミン、コンドロイチン配合
- 抗酸化成分:ビタミンE、ビタミンC、ポリフェノールなど
- 消化しやすい:消化機能の衰えに配慮した設計
食事の工夫
食べにくくなった時の対策:
- ドライフードをぬるま湯でふやかす
- ウェットフードをトッピングする
- 食器を台の上に置いて高さを出す(首を下げなくて済む)
- 1回の量を減らして回数を増やす(1日2回→3〜4回)
水分摂取の確保:
老犬は脱水になりやすいため、水分摂取量に注意が必要です。ウェットフードを増やしたり、スープタイプのおやつを活用したりして、こまめに水分を摂らせましょう。
老犬の運動ケア
散歩は続けるべき?
答えは「はい、できる限り続けましょう」です。
歳だから散歩はやめよう…と考えてしまいがちですが、適度な運動は筋力維持・認知症予防・ストレス解消に欠かせません。ただし、若い頃と同じペースではなく、犬のペースに合わせることが大切です。
散歩の工夫
- 時間を短く:30分の散歩を15分×2回に分ける
- ゆっくり歩く:犬のペースに合わせる
- 平坦な道を選ぶ:坂道や階段は避ける
- 暑い時間帯を避ける:夏は早朝や夕方に
- 滑りにくい靴下や靴:足腰が弱った犬には犬用靴が有効
- ペットカート:疲れた時に乗せられるよう持参する
室内でできる運動
散歩が難しくなってきたら、室内でのリハビリ運動を取り入れましょう。
- バランスディスクやクッションの上に立たせる(体幹トレーニング)
- おやつを使ったノーズワーク(嗅覚を使う脳トレ)
- 軽いマッサージ(血行促進、リラックス効果)

老犬の生活環境の整備
滑り止め対策
フローリングは老犬にとって大きなリスクです。足腰が弱ると踏ん張りが効かなくなり、滑って転倒→骨折というケースが少なくありません。
- カーペットやラグを敷く
- コルクマットやジョイントマットを活用する
- 犬用の滑り止め靴下を履かせる
- 爪をこまめにカットする(長い爪は滑りやすい)
段差対策
- ソファやベッドにはスロープやステップを設置する
- 階段の上り下りはゲートで制限する
- トイレまでの動線を短くする
寝床の見直し
老犬は寝ている時間が長くなるため、寝床の質が健康に直結します。
- 低反発マットや介護用ベッド:体圧を分散し、褥瘡(床ずれ)を予防します
- 洗濯可能なカバー:トイレの失敗にも対応できます
- 適切な温度管理:エアコンやペット用ヒーターで快適な温度を維持しましょう
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認知症(CDS)への対応
犬の認知症のサイン
犬にも認知症(CDS:認知機能不全症候群)があります。以下のような症状が見られたら要注意です。
- 夜鳴き:夜中に意味もなく鳴き続ける
- 徘徊:ぐるぐると同じ場所を歩き回る
- 見当識障害:家の中で迷う、壁の前で立ち止まる
- 飼い主を認識できないことがある
- 昼夜逆転:昼間ずっと寝て夜に活発になる
- トイレの失敗が急に増える
認知症のサインは「老化だから仕方ない」と見過ごされがちですが、早期に対策を始めることで進行を遅らせることができます。気になる症状があれば、獣医師に相談しましょう。
認知症の予防と対策
- DHA・EPAの摂取:脳の健康維持に有効です。サプリメントやDHA配合のフードを活用しましょう
- 日光浴:体内時計を整え、昼夜逆転を防ぎます
- 知的刺激:ノーズワーク、知育おもちゃ、新しい場所への散歩が効果的です
- 規則正しい生活リズム:毎日同じ時間に食事・散歩・就寝を心がけましょう
- サプリメント:抗酸化サプリ(ビタミンE、コエンザイムQ10など)も選択肢です
認知症が進行した場合は、獣医師に相談して投薬治療を検討することもあります。
犬の認知症については、日本獣医師会のサイトでも情報が提供されています。
老犬の介護
トイレの介護
トイレの失敗が増えてきたら、叱らずに環境を整えてあげましょう。
- オムツ:犬用オムツを活用します。最初は嫌がることもあるので少しずつ慣らしてください
- 防水シーツ:寝床に敷いておくと安心です
- トイレの場所を増やす:移動距離を短くしてあげましょう
- 排泄のサポート:歩行が困難な場合は、お腹の下に手を入れて支えてあげてください
食事の介護
自力で食べられなくなった場合の対応です。
- 手で食べさせる:手のひらにフードを載せて口元へ
- シリンジ給餌:流動食をシリンジ(注射器型)で少しずつ口に入れる
- 食器の工夫:滑り止め付き、高さ調整ができるものを選ぶ
寝たきりになった場合
寝たきりの犬のケアで最も重要なのは褥瘡(床ずれ)の予防です。
- 2〜3時間ごとに体の向きを変える
- 体圧分散マットを使う
- 皮膚を清潔に保つ:排泄で汚れたらすぐに拭く
- 関節のストレッチ:軽く曲げ伸ばしして拘縮を予防する
飼い主のメンタルケアも大切です
老犬の介護は、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。夜鳴きで眠れない日が続いたり、トイレの後始末に追われたり…。一人で抱え込まないようにしてください。
- 老犬介護の相談窓口を利用する
- ペットシッターやデイケアを活用してリフレッシュの時間を作る
- SNSやコミュニティで同じ境遇の飼い主とつながる
- 必要なら獣医師に介護の負担を相談する
老犬介護のサポートについては、日本動物病院協会(JAHA)でも情報が提供されています。

老犬の定期検診
シニア犬は最低でも半年に1回の健康診断を受けましょう。できれば3〜4ヶ月ごとが理想です。
特にチェックしたい項目は以下の通りです。
- 血液検査(腎臓・肝臓の数値)
- 尿検査
- 心臓のチェック(聴診、できればエコー)
- 体重の推移
- 関節の状態
早期発見・早期治療が、愛犬の健康寿命を延ばすカギになります。
まとめ:老犬との時間は「かけがえのない宝物」
老犬のケアで大切なポイントをまとめます。
- 食事:シニア用フードに切り替え、食べやすい工夫を
- 運動:犬のペースに合わせて散歩を継続
- 環境:滑り止め、段差対策、快適な寝床を整える
- 認知症対策:DHA、日光浴、知的刺激を取り入れる
- 健康診断:半年に1回以上の受診を
- 飼い主自身のケアも忘れずに
老犬との生活は大変なこともありますが、長年一緒に過ごしてきた愛犬だからこそ、最期まで快適に過ごさせてあげたいものです。今日からできることを一つずつ始めて、愛犬の老後をしっかり支えてあげてください。
Washington State University Veterinary Clinical Pharmacology Labでは、高齢動物のケアに関する研究情報が公開されています。
※この記事は記事執筆時点の情報をもとに作成しています。個々の犬の状態によって必要なケアは異なります。愛犬の健康や介護に関する判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
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