「去勢手術って本当にした方がいいの?」「費用はどのくらいかかるの?」「何歳までにやればいいの?」。オス犬を飼っている飼い主さんなら、一度は頭をよぎるテーマではないでしょうか。
去勢手術にはメリットが多い一方で、デメリットもゼロではありません。大切なのは、正しい情報をもとに愛犬にとってベストな判断をすることです。
この記事では、去勢手術の費用相場、適切な時期、メリットとデメリット、手術の流れ、術後のケアまで、飼い主さんが知っておくべき情報を網羅的にまとめました。
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犬の去勢手術の費用相場
一般的な費用の目安
去勢手術の費用は動物病院や犬のサイズによって異なります。現在の相場はおおよそ以下の通りです。
- 小型犬(〜10kg):15,000〜30,000円
- 中型犬(10〜25kg):20,000〜40,000円
- 大型犬(25kg〜):30,000〜60,000円
これには手術費用、麻酔代、入院費(日帰り〜1泊)が含まれていることが多いです。ただし、術前検査(血液検査・レントゲンなど)は別途5,000〜15,000円かかるケースが一般的です。
追加で発生する可能性のある費用
- 術前検査(血液検査・心電図など):5,000〜15,000円
- エリザベスカラー:1,000〜3,000円(病院で貸し出しの場合も)
- 術後の内服薬(痛み止め・抗生物質):2,000〜5,000円
- 抜糸(糸を使う場合):0〜3,000円
- 停留精巣(精巣が降りていない場合)の手術は通常の去勢より高額になることが多い
エリザベスカラーは病院で借りられることもありますが、サイズの合うものを自分で用意しておく飼い主さんも多いです。
費用を抑える方法
自治体の補助金制度を利用できる場合があります。地域によって金額は異なりますが、5,000〜10,000円の補助が出ることもあるので、お住まいの自治体に確認してみてください。
また、複数の動物病院で見積もりを取るのも一つの方法です。ただし、費用だけで病院を選ぶのはおすすめしません。設備や獣医師の経験・技術が何より大切です。

去勢手術の適切な時期
一般的に推奨される時期
従来は生後6ヶ月前後が推奨されてきましたが、近年の研究で犬種やサイズによって最適な時期が異なることがわかってきています。
- 小型犬:生後6ヶ月〜1歳
- 中型犬:生後6ヶ月〜1歳
- 大型犬・超大型犬:生後1歳〜2歳(骨格の成長が完了してから行うことを推奨する研究が増えている)
大型犬については、Frontiers in Veterinary Scienceなどの学術誌で、早期去勢と関節疾患のリスクについての研究が報告されています。
早すぎる去勢のリスク
性ホルモンは骨の成長板の閉鎖に関わっているため、成長期に去勢すると骨が予想以上に長くなり、関節に負担がかかる可能性があります。特に大型犬では前十字靭帯断裂や股関節形成不全のリスクが高まるという報告もあります。
遅すぎる去勢のデメリット
一方で、去勢が遅すぎるとマーキングやマウンティングなどの行動が定着してしまう可能性があります。こうした行動は去勢後も改善しないことがあるので注意が必要です。
最適な時期は犬種や個体の状態によって異なるため、かかりつけの獣医師と相談して決めるのがベストです。
去勢手術のメリット
健康面のメリット
- 精巣腫瘍の予防:精巣を摘出するので、精巣の腫瘍は100%予防できる
- 前立腺疾患のリスク低減:前立腺肥大、前立腺炎などの発症リスクが下がる
- 会陰ヘルニアの予防:未去勢のオス犬に多いこの疾患の予防効果がある
- 肛門周囲腺腫の予防:男性ホルモン依存性の腫瘍を予防
行動面のメリット
- マーキングの減少:特に早期に去勢した場合、室内でのマーキングが減ることが多い
- 攻撃性の軽減:ホルモンに起因する攻撃性が和らぐ可能性あり(ただし個体差が大きい)
- 脱走リスクの低下:メス犬を追いかけて脱走する行動が減る
- マウンティングの減少
手術までの期間や、去勢後もマーキングが残っている場合は、マナーベルトで室内を汚さない工夫をしている家庭もあります。
社会的なメリット
- 望まない繁殖の防止:保護犬の増加を防ぐことにつながる
- ドッグランなどで利用しやすい:施設によっては去勢済みが利用条件の場合も
去勢手術のデメリット・リスク
- 全身麻酔のリスク:どんな手術にも麻酔リスクはあります。健康な若い犬では非常に低い確率ですが、ゼロではありません
- 太りやすくなる:代謝が落ちるため、去勢後は同じ食事量だと太りやすくなります。食事管理が必要です
- 繁殖ができなくなる:当然ながら、一度去勢したら元には戻せません
- 特定の疾患リスクの変化:犬種によっては、骨肉腫や血管肉腫のリスクがわずかに上がるとの報告もあります(ただし統計的に明確ではない部分も多い)
- 被毛の変化:一部の犬種で毛質が変わる(柔らかくなる、毛量が増えるなど)ことがあります
去勢後は同じ量でもカロリーが余りやすくなります。フードを体重管理タイプに切り替えるか、量を見直すかは獣医師と相談して決めましょう。
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手術の流れ
手術前
- 術前検査:血液検査で肝臓・腎臓の機能を確認し、麻酔に耐えられるかチェック
- 絶食:手術前日の夜から絶食(通常12時間前後)。水は当日朝まで可の場合が多い
手術当日
- 朝に病院に預ける
- 全身麻酔をかけて手術(手術自体は20〜40分程度)
- 麻酔から覚醒後、状態を観察
- 日帰りまたは1泊入院(病院の方針による)
術後のケア
- エリザベスカラーを装着して傷口を舐めさせない(7〜14日間)
- 散歩は2〜3日後から短時間で再開。激しい運動は1〜2週間控える
- 処方された抗生物質と痛み止めをきちんと飲ませる
- 傷口の状態を毎日チェック(腫れ、出血、膿がないか)
- 必要に応じて7〜14日後に抜糸(吸収糸を使う場合は不要)
カラーをどうしても嫌がる子には、傷口をカバーできる術後服という選択肢もあります。使えるかどうかは獣医師に確認してください。

停留精巣(潜在精巣)の場合
精巣が正常な位置(陰嚢内)に降りておらず、お腹の中や鼠径部にとどまっている状態を停留精巣(潜在精巣)といいます。
停留精巣は精巣腫瘍のリスクが通常の10倍以上と言われているため、去勢手術が強く推奨されます。ただし、お腹の中から精巣を取り出す場合は開腹手術になるため、通常の去勢手術より費用が高く、回復にも少し時間がかかります。
よくある質問
Q. 去勢すると性格が変わる?
基本的な性格は変わりません。ホルモンに影響される行動(マーキング、攻撃性など)は軽減される可能性がありますが、その犬の「性格」そのものが変わるわけではありません。
Q. 何歳まで去勢手術は可能?
健康であれば高齢でも可能ですが、年齢が上がるほど麻酔リスクは高くなります。術前検査で問題がなければ、獣医師の判断のもと実施できます。
Q. ペット保険で去勢手術はカバーされる?
基本的に去勢手術は予防目的のためペット保険の対象外です。ただし、停留精巣の手術など医療上の必要性がある場合は補償対象になることもあります。保険会社に確認しましょう。
まとめ
- 費用は小型犬で1.5〜3万円、大型犬で3〜6万円が目安
- 時期は犬種・サイズによって最適なタイミングが異なるので獣医師と相談
- メリットは病気予防と行動改善、デメリットは太りやすくなることなど
- 術後はエリザベスカラーと安静が大切
- 停留精巣の場合は早めの去勢を強く推奨
去勢手術をするかどうかは、最終的には飼い主さんの判断です。しかし、正しい情報をもとに、獣医師としっかり話し合って決めることが何より大切です。愛犬にとって最善の選択ができるよう、この記事が参考になれば幸いです。

※この記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。費用は地域や動物病院によって異なります。手術を検討する際は必ず獣医師にご相談ください。
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