猫も人間と同じように糖尿病になることをご存知でしょうか。特に肥満の猫や、高齢の猫に多く見られる病気です。肥満の猫は理想体重の猫に比べて糖尿病のリスクが約4倍というデータもあり、日頃の体重管理がいかに大切かがわかります。
この記事では、猫の糖尿病の症状、原因、食事管理のポイント、治療法まで詳しく解説します。早期発見・早期治療によって寛解(症状がおさまること)する可能性もある病気ですので、ぜひ参考にしてください。

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猫の糖尿病とは?
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖値)が異常に高くなる病気です。猫の場合、膵臓から分泌されるインスリンの量が不足したり、インスリンがうまく働かなくなることで発症します。
猫の糖尿病は人間のII型糖尿病に似ているとされ、インスリンの作用が低下するタイプが多いのが特徴です。適切な治療と食事管理を行えば、インスリン注射が不要になる「寛解」を達成できるケースもあります。寛解率は報告によって異なりますが、早期に治療を始めた場合、30〜50%程度の猫で寛解が達成されるとも言われています。
ただし、寛解した後も再発するリスクがあるため、定期的な血糖値チェックは継続する必要があります。
猫の糖尿病の主な症状
糖尿病の初期症状は見逃しやすいものが多いですが、以下のような変化があったら注意が必要です。
- 水を飲む量が明らかに増えた(多飲)
- おしっこの量や回数が増えた(多尿)
- 食欲があるのに体重が減ってきた
- 元気がなくなった、だるそうにしている
- 被毛のツヤがなくなった、フケが増えた
- 後ろ足のかかとをつけて歩く(蹠行)
- 嘔吐する頻度が増えた
「食欲はあるのに体重が減る」という変化は、抱っこした感覚だけではなかなか気づけません。自宅にペット用の体重計があると、月に一度測るだけでも小さな変化を拾いやすくなります。
特に「多飲多尿」は糖尿病の代表的な初期症状です。水を飲む量やトイレの回数が急に増えたと感じたら、すぐに動物病院で検査を受けましょう。正常な猫の1日の飲水量は体重1kgあたり50ml程度ですが、糖尿病では100ml以上に増えることもあります。
また、「後ろ足のかかとをつけて歩く」という症状(蹠行:しょこう)は、糖尿病が進行した際に見られる特徴的なサインです。末梢神経障害によって起こるもので、この段階ではかなり病状が進んでいる可能性があります。早期に治療を始めれば改善する場合もありますが、時間が経つと回復が難しくなることもあります。

猫が糖尿病になる原因
肥満
もっとも大きなリスク要因が肥満です。脂肪組織が多いとインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が下がりにくくなります。特に体重が適正体重の120%以上になると、糖尿病のリスクが急激に上がります。
高炭水化物の食事
猫は完全肉食動物であり、体のつくりが炭水化物を大量に処理するのに向いていません。炭水化物の多い食事を長期間続けると、血糖値の上昇を招きやすくなります。安価なドライフードには穀物が多く含まれているものがあるため、フードの成分表をチェックする習慣をつけましょう。穀物を使わない「グレインフリー」と表示されたキャットフードは、原材料が確認しやすく比較の起点にしやすいタイプです。
膵炎との関連
膵臓の炎症(膵炎)がインスリンを分泌する細胞(ベータ細胞)にダメージを与え、糖尿病を引き起こすことがあります。猫では膵炎と糖尿病が同時に見られるケースが少なくなく、膵炎の管理も糖尿病治療の重要な要素です。
加齢・性別・遺伝
高齢の猫ほど糖尿病のリスクは上がります。オスの猫はメスに比べて発症率が高い傾向にあります。また、バーミーズなど特定の猫種で発症率が高いとする報告もあります。
ステロイド薬の長期使用
別の病気の治療でステロイド薬を長期間使用すると、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病を誘発することがあります。ステロイド治療中は血糖値のモニタリングが重要です。
猫の糖尿病の治療法
インスリン注射
糖尿病の治療の中心はインスリン注射です。飼い主さんが自宅で1日1〜2回、皮下注射を行います。最初は不安に感じるかもしれませんが、動物病院でやり方を丁寧に教えてもらえますし、慣れればスムーズに行えるようになります。針は非常に細く、猫が痛みをほとんど感じないものが使われています。
インスリンの種類や量は猫ごとに異なるため、治療開始後は血糖値のモニタリングを行いながら調整していきます。最初のうちは2〜4週間ごとの通院が必要ですが、安定すれば通院頻度を減らすことができます。
食事療法
食事の見直しは糖尿病管理の柱の一つです。猫の糖尿病では、以下のようなフードが推奨されます。
- 高タンパク質・低炭水化物のフードが基本(炭水化物の割合が15%以下が理想)
- 食物繊維が豊富なフードで血糖値の急上昇を抑える
- 動物病院で処方される糖尿病用療法食(ロイヤルカナン糖コントロール、ヒルズm/dなど)
- 食事の時間と量を一定にすることで、血糖値の変動を安定させる
- 1日2回のインスリン注射に合わせて、1日2回の食事を規則正しく与える
とはいえ、毎日決まった時刻に同じ量を用意し続けるのは、仕事や外出のある家庭では負担になりがちです。時間と量を設定できる自動給餌器を併用している飼い主さんもいます。
体重管理
肥満が原因の場合、適正体重に戻すことでインスリンの効きが改善し、寛解につながることがあります。ただし、急激なダイエットは禁物です。週に体重の1〜2%程度のペースで、ゆっくり減量しましょう。
家庭での血糖値モニタリング
近年は、自宅で飼い主さんが血糖値を測定する方法も普及してきています。耳の縁から少量の血液を採取して測定する方法や、センサーを皮膚に装着して持続的に血糖値を測定するシステム(CGM)もあります。自宅での測定は通院の負担を減らし、よりきめ細かな血糖管理に役立ちます。
インスリンの量や注射のタイミングは自己判断で変えてはいけません。血糖値が下がりすぎる「低血糖」は命に関わる緊急事態です。ぐったりする、けいれんする、意識がもうろうとするなどの症状が見られたら、すぐに砂糖水やハチミツを歯茎に塗り、動物病院に連絡してください。

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治療費の目安
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 初診・血液検査 | 5,000円〜15,000円程度 |
| インスリン(1本) | 2,000円〜5,000円程度 |
| 注射器・針(1か月分) | 2,000円〜3,000円程度 |
| 血糖値モニタリング(通院1回) | 3,000円〜8,000円程度 |
| 糖尿病用療法食(月額) | 5,000円〜10,000円程度 |
※費用は動物病院によって異なります。ペット保険に加入していれば一部が補償される場合があります。内科治療を継続する場合、月々のコストは15,000円〜30,000円程度になることが多いです。
猫の糖尿病は予防できる?
糖尿病を完全に予防することは難しいですが、リスクを下げるためにできることはあります。
- 適正体重を維持する(太らせない)のが最大の予防策
- 高タンパク・低炭水化物の食事を心がける
- 適度な運動をさせる(1日10〜15分の遊び時間を確保)
- 定期的な健康診断で血糖値をチェックする
- 避妊・去勢後はフード量を調整して体重管理を強化する
室内飼いの猫は自分から運動する機会が少ないので、飼い主さんが遊びに誘う時間を作ってあげることが運動量の確保につながります。猫じゃらしのような動きのあるおもちゃは、短時間でも夢中になってくれることが多いアイテムです。
よくある質問(Q&A)
Q. 猫の糖尿病は寛解する?
A. はい、適切な治療(インスリン注射と食事療法)を行うことで、一部の猫では寛解し、インスリン注射が不要になることがあります。早期発見・早期治療が寛解の可能性を高めます。ただし、寛解後も再発のリスクがあるため、定期的な血糖値チェックは続けましょう。
Q. 糖尿病の猫にあげてはいけない食べ物は?
A. 炭水化物が多い食べ物や、人間用のお菓子・甘いものは厳禁です。おやつも低カロリーで糖質の少ないものを選びましょう。フリーズドライの鶏ささみや白身魚などの高タンパクおやつがおすすめです。
Q. インスリン注射は一生続ける必要がある?
A. 猫の場合、寛解すればインスリン注射が不要になることもあります。ただし、再発の可能性もあるため、寛解後も定期的な血糖値チェックは継続しましょう。寛解までの期間は個体差がありますが、数週間から数か月が目安です。
Q. 糖尿病の猫を留守番させても大丈夫?
A. インスリン注射のタイミングに合わせた食事管理が必要なため、長時間の留守番はできるだけ避けましょう。やむを得ない場合は、ペットシッターに注射を依頼するか、獣医師に相談して対策を立てておきましょう。
まとめ
猫の糖尿病は、肥満や高炭水化物の食事が大きなリスク要因となる病気です。「多飲多尿」「食べているのに痩せる」といった症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
インスリン注射と食事療法を適切に行えば、良好な状態を維持することができますし、寛解を達成できる可能性もあります。日頃から体重管理と食事の質に気を配り、糖尿病のリスクを減らすことが愛猫の健康長寿につながります。

参考リンク:猫の糖尿病について(さかきばら動物病院)|猫の糖尿病の症状と原因、治療法(サニメド)|猫の糖尿病の症状と治療法(グリーンパーク動物病院)
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